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大石分水(嵓々所蔵

私の好きな八一の作品
「赤心を主と為す」

分水町(現新潟県燕市)出身の私は、たまらなく良寛さんと秋艸道人(会津八一)が好きであり、また尊崇してやまない存在でもある。そのため、一点でもよいからその書を手元において鑑賞したいという願いが強くあった。

 もう四十数年前のことになるが、東京・神田神保町の古書店で、秋艸道人のこの「赤心為主」の書に出会った。震えがきて、この書を手元におかなければいけないと、とっさに思った。

 だが、その価は当時の私にとっては(今でもそうだが)想像を超えた値段であり大金でもあった。購入はどう考えても無理というものであったが、この機会を逃したらこの書とは永遠の別れと思い、無理を承知で何とか手に入れたものである。私にとっては資金繰りよりも秋艸道人への思いの方が勝ったのである。。

現在は私の書斎名「赤心斎」にもつながり、「赤心会」「赤心展」という書・篆刻のグループ名、展覧会名にもなっている。

 「虚堂録」中の語で「赤心を主と為す」。以来私の生きる上での箴言である。

 宮川寅雄の箱書きがあり、印首印は山田正平の刻で「虚無」、姓名印、斎号印は呉昌碩の高弟である徐星州の刻で「會朔」「渾齋」である。

座右に帰した当時を思い起こしながら、新年には必ず愛玩鑑賞することが習いとなっている。

 

赤心とは...

嘘いつわりのない、ありのままの心

© 2023 Bunsui Oishi

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